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移転のお知らせ


こんばんは、お久しぶりです。

突然ですが、大変勝手ながらブログ連載をやめて、普通のサイトに引っ越すことにしました。

理由は、ブログだと小説管理が大変になってきたからです。(たいした理由じゃなくてすみません・・)

移転先は、今保管庫として使っているサイトです。

更新状況は、『履歴』から確認できます。相変わらずの不定期&亀更新になるとは思いますが、これからも引き続きご愛読していただければ嬉しいです。

突然のことでご迷惑をおかけしますが、ご理解下さい。

▼移転先になります。

〜水色の雲〜

それでは、新サイトにてお待ちしています!

※ブログは、とりあえずこのまましばらく残す予定です。

以上、お知らせでした。

SILVER NIGHT/甘い涙A

※微エロ表現有りです。





そのままブランコを漕いでいると、ボロボロ涙が出てきた。

やっぱり、山崎さんにきちんと謝った方がいいかもしれない。さっきのことで嫌われて、もし“弟”ですらいられなくなったとしたら・・そっちの方が、ずっと辛い。

しかも端から見たら、高校生がブランコに乗りながら大泣きしてるなんて・・異様な光景だろう。

でも・・泣いても泣いても、涙は枯れない・・。

だって僕は・・山崎さんに意地悪されても・・嫌われても、彼を嫌いになれないって分かってるから。

キスされて・・嬉しいけど・・でも、同じくらい悲しいんだ。

今までもこの先も、僕はずっとあの人を想い続けてしまうだろうから―

きっと僕は、世界一惨めな恋をしてるんだ。

僕は・・・馬鹿だ。






――――――

しばらく1人で泣きじゃくっていたけど、僕は急に用を足したくなった。

急いで、公衆トイレへ向かう。

街灯の薄明かりしかなくて、ちょっと気味が悪いけど・・仕方ない。

トイレへ入る前に、誰もいないかどうか、外からチラリと確認しようとした時だった。

「・・も〜、ゆ・・てばっ・・・・だけだよ?」

「・・ン・・ってるって・・やま・・唇・・・・やわけ・・んんっ」

「ふぅっ・・ぁ・・ン」

「・・も、おま・・エロ・・・・よ・・」

―心臓が止まるかと思った。

トイレの個室から、低い声でヒソヒソ何か話してる声が聞こえた後、クチュクチュッ・・っていう水音みたいなものと、ふッ、ふッ、はあはあはあ・・って、いう必死に息継ぎをしているみたいな音が聞こえてきた。

(うわ、カップルかな?どうしよう・・。ていうか、何もこんなとこでしなくたって・・)

姿は見えないけど、個室の中でカップルが熱いキスをしているらしい、ということだけは分かった。

唇を貪り合うような激しいキスなんだろう。音があまりにも生々しくて、こっちの方が恥ずかしくなってきた。

いつからいたんだろう・・僕の来るずっと前かな?

―まあ、気付かれないうちに退散しよう。邪魔しちゃ悪いし。

そう思いながら、そっと公衆トイレから立ち去ろうとした・・その時。

「ン、ンンンッ・・あ、ゆ・・くん」

「あ・・はあッ、ンッ・・やまと・・」

こっそりトイレを後にしようとしたけど・・はっきり聞いてしまった。

個室の中にいる二人の名前を。

―・・・個室の中にいるのは、どうやら『ゆーくん』と『やまと』という人らしい。

名前からして・・多分・・・どちらも・・。

驚きのあまり、僕は思考回路が停止したみたいになって・・そして、その場から動けなくなってしまった。

SILVER NIGHT/甘い涙@


あーあ・・これから、どうしよう。

山崎さんと一緒に住んでるアパートを飛び出して、僕は走り続けた。

気が付くと、けっこう遠くまで来ていて・・自分でもびっくりした。

後ろから追い掛けてきていた山崎さんも、もういない。

(あ、僕・・独りぼっちじゃん・・)

すでに日はとっぷり暮れていて、辺りは暗く静かになっていた。

・・なんだか、急に物凄い孤独感に襲われる。自分で勝手に飛び出してきたくせに、アパートへ今すぐ帰りたいな・・と強く思った。

(こんな短気で我が儘な弟・・・嫌だろうな。血の繋がりもないし)

結局・・行く宛てもなく、暗い道を1人でとぼとぼ歩いていると、全く人気のない寂れた小さな公園を発見した。

吸い寄せられるように、僕はその公園に入り・・ブランコに乗った。

少し、座って考えたかった。

山崎さんのこと。

ちょっとエッチなキスをされたこと。

これからどうしたらいいのか、ということ。

考えるべきことが有りすぎて、僕は頭がパンクしてしまいそうだった。

1人で小さい子みたいにブランコをゆらゆらさせながら、僕はゆっくりと頭の中で考えを巡らせてみた。

まず・・山崎さんは本当に、僕をからかうのが好きなんだろう。僕は頭が悪いから、きっと僕のおかしな反応が楽しいんだと思う。

そうでもないと・・いきなり名前で呼んでみろなんて言ったり、唾液交換みたいな・・ああいうキスをしたりなんか、しないと思うし。

そういう事に免疫のない僕の反応が、面白いんだ。そうに決まってる。山崎さんは凄く格好良いし、女の人達がほっとくわけないから・・ああいうキスなんか、きっと何十回もしているんだろうけど。

僕は・・僕には、山崎さんだけなのに。

ひどい。

―人には絶対言えないけど、僕は幼い頃から山崎さんを“男の人”として好きだった。いつ頃からか覚えてないけど・・明るくて頼りがいがあって、とても優しい山崎さんが・・僕は誰より好きだった。

でも・・この気持ちは、ずっと胸にしまっておくつもりだった。

だって僕は、山崎さんの“弟”というポジションで充分だったから。

山崎さんの隣には、やっぱり女の人が似合うし・・いつか彼女を紹介されたりしたら、ちゃんと『おめでとう』って言うつもりだった。

“家族”という揺るぎない立場で、いつまでも山崎さんの傍にいたかった。それに、年に何回か話をできるだけで、僕は満足してた。

・・それ以上は何も望んでいなかったのに、急にこうして同居できることになって・・夢みたいだし、凄く嬉しかった。

なのに・・。

・・・・キス・・するなんて。

それも、僕をからかう為に。

・・好きだからこそ、キスなんかして欲しくなかった。山崎さんにはとっては何十回のうちの一回かもしれないけど、僕にとっては・・最初で最後の一回かもしれないのに。

もう、一緒には暮らせないかも。

でも・・行くとこ、ないや。

これからどうしたらいいんだろう・・と途方に暮れながら、僕はいつまでもブランコを漕ぎ続けた。

拍手ありがとうございます!!


亀更新にも関わらず拍手して下さる方、本当に本当にありがとうございます!!

えーっと、お知らせと言うか、実は『COLORAFUL RAIN』→『ORANGE MOON』→『SILVER NIGHT』の順番で更新していこう!!と思っていたんですが、次も『SILVER NIGHT』にする予定です。

次は、ユウキ視点です。

ちょっとネタバレになりますが、幸生とやまとが登場予定です。

裏設定?としては、今連載中の3つの話は同じ街を舞台にしているので、なんとなく各話の登場人物達を繋げていけたらなぁ、と構想してます。

これからも、楽しんでいただければ嬉しいです。

亀更新ですが、まだまだ彼らの地味平凡生活は続きます。

生暖かく見守ってやって下さい。

それではまた!

SILVER NIGHT/レンアイ対象D


おいおいおい、ちょっと待てよ。

今のユウキの発言て・・もしかして・・もしかすると、もしかしちゃったりする?

(こんなドラマみたいな展開ってあり?神様・・・・!)

唇の端を噛みながら潤んだ瞳をゆらゆらさせてる可愛い義理の弟をヨソに、俺はひとり有頂天になっていた。

―もし。

もしも、コレがきっかけで上手くいっちゃったりすれば・・キスやデート・・し放題か!?

・・極め付けは、毎日部屋で眠たくなるまでイチャイチャ・・!!なんつって!!

まあ、アッチの方は・・ユウキの気持ちをがっちり掴んで俺のもンにしておければ、焦ることはないと思ってる・・。

別に、ユウキが成人してからだって良い。

余裕で待てる。

とりあえず、毎日ユウキに“シンジさん、愛してます(はぁと)”とかいってもらえたら、アッチなんて俺はいくらでも我慢できるっつぅか、する。

万が一、一生ユウキとデキなくたって・・あの可愛い顔と声と仕草でそんなふうに言ってもらえたら・・俺、ユウキを襲っちゃ・・じゃなくて、優しく抱き締めちゃうかも。

・・死んだっていもいいかもしれん・・・・。

「ユウキ」

名前を呼ぶと、ユウキはぷいっとそっぽを向く。

(まったく、素直じゃないなぁ・・・まあ、そんなところも可愛いけどなっ)

「ユウキ・・今何て言った?もう一回言って?」

分かってるけど・・確認せずにはいられない。

いくら血の繋がりがないとはいえ、兄弟の一線を越えてしまうことになるのかもしれない。

常識から考えれば、義理の弟をそういう対象として見ているなんて、自分でも異常だと思う。

それでも、俺はユウキが世界一大切だし・・大好きだし・・愛してる。

―だから・・ちゃんと、俺と向き合ってくれ。

頼む。






――――――

沈黙が続く。

もどかしくなって、俺はもう一度口を開こうとした。

「なあ、ユ・・」

潤んだ瞳のまま、俺を睨み付けるユウキ。

怖くない。

むしろ可愛い。

なんて思ってたら―

「・・し、し、知りません・・!もうシンジさんなんか嫌いですっ!」

そう言い残して・・舞い上がってある俺を置いて、ユウキは止める間もなく部屋を出ていってしまった。

「おいっ、ユウキ?!待てよ!!」

慌てて、俺は玄関を出てユウキを追い掛けた。

なんか・・マズいこと言ったかなあ?ああ、キスか・・やっぱり、キス・・嫌だった?

あ〜あ、どうしたらいいんだよ!

天国から地獄って感じだ・・・・!




【つづく】
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